35。心臓発作

ダコタ・ブラック

スマホに手を伸ばし、自分を制止する間もなく、彼女の連絡先をタップする。ドビー♥️♥️♥️。

胸の内で地震が起きたかのようだ。パニック発作にでも見舞われたかのように、血管の中を血が激しく駆け巡る。

『緊張している』

ちくしょう。電話をかけたり、メッセージを送って謝ったりする度胸すらないのか、俺は。『返信なんてくれるわけがない!』

深呼吸をしてスマホを閉じる。喉から手が出るほど彼女に電話して、その甘い声を聞きたいが、またしても衝動を抑え込む。

下手をすれば、俺のイカれた一面が暴走してビデオ通話をかけちまうかもしれないし、それどころか……彼女の家まで押しかけて、...

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