36。キング・オブ・パーヴァート・ランド

エマラ・ストーン

ピッ、ピッ

指を伸ばし、軽くタップしてスマートフォンの午前六時半を告げるアラームを止める。そして、再び鏡に意識を戻した。

マスカラをひと塗りすると、存在感のなかった私のまつ毛が、より長く、より黒く伸びていくのが見えた。でも、私の心は隠れたサイコな本性を持つ『変態ランドの王様』のことで頭がいっぱいだった。

メッセージも、彼特有の朝のうざい電話もない。『本気で私を無視する気なんだ』

私はリップスティックを手に取り、ゆっくりとチューブを回しながら、にやりと唇の端を吊り上げた。『いつまで私を無視し続けるつもり、ブラックさん?』

鏡にぐっと顔を近づけ、まるで凶器を塗...

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