45。本の中で一番古いトリック

エマラ・ストーン

カフェテリアのテーブル席に、あたしは座っている。目の前には、白い箱がひとつ。

もう十五分は経っただろうか。あたしはただ、その忌々しい箱と、上に乗せられた手書きのメモを睨みつけている。

『好きな味を教えてくれなかったから、両方買ってきたよ ;)』

胃がキリリと痛む。空腹からじゃない。もっと複雑で、名状しがたい何かのせいだ。

ようやく蓋を開けると、甘くて濃厚な、たまらない香りがふわりと鼻をくすぐった。生クリーム、バニラエッセンス、そしてココアの深く力強い香り。

チョコレートとストロベリーのカップケーキ。あたしは、まるで何かを語りかけてくるかのように、じっとそれ...

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