第4章

カフェのバックヤードは、いつもどこか静かな雰囲気が漂っていて、フロントの喧騒とは対照的だ。

私と佐藤杏は、ここでアフタヌーンティーの時間に使うデザートの準備をしている。それが私たちの日常だった。

「また別れたの?」

佐藤杏は手を休めることなく、何気なく尋ねてきた。焼きたてのクッキーを、趣のある和風の磁器皿に並べながら。

「今度は誠人さん、どんな手を使って復縁を迫ってくるのかしら?」

杏の口調には、もはや見慣れた光景だと言わんばかりの揶揄が含まれていた。

確かに、この七年間、私と誠人のくっついたり離れたりは、SNSの恒例行事のようになっていた。

私たちが喧嘩して別れる...

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