第140章 それほど痛くない

こんなはずじゃなかった。

西園寺昴は、力なく髪を掻きむしった。

自分でも何がどうしてこうなったのか分からない。なぜ突然、これほどまでに愚かな真似をしてしまったのか。白石凛は、彼が誰よりも愛している女性(ひと)なのに。

こんな結末など望んでいなかった。だが、心の中に潜む何らかの魔物が、彼をそう仕向けたかのように思えてならない。

ただ凛に離れてほしくなかっただけだ。壊れかけた関係を、なんとかして修復したかっただけなのに、どうしてここまで追い詰められてしまったのか。

西園寺昴はさらに強く髪を引いた。その姿はまるで伴侶を失った野獣のように、悲痛な唸り声を上げていた。

……

外界の喧騒な...

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