第160章 まだ見物を続けるのか

「お兄ちゃん、やっと見つけた」

 西園寺静が口を開こうとしたその時、西園寺菊江が現れた。

 彼女は相変わらず塵一つない純白のドレスを身に纏っており、この灯紅酒緑の喧騒に満ちたバーとは、あまりにも不釣り合いだった。

 アンナは酒瓶を抱えたまま、どこか虚ろな目で彼女を見つめた。アルコールが回りすぎているせいか、目の前の女が誰なのかすぐには分からず、ただ見覚えがあるような気がしただけだった。

 西園寺静は、浮かべていた微かな笑みをスッと消した。

「なぜここに来た? 帰れ。お前が来るような場所じゃない」

「お兄ちゃん、今日一日中電話に出てくれなかったじゃない。私がどれだけ心配したと思って...

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