第179章 本当に結婚した

白石凛は、彼の手にある赤い冊子を見つめながら、一瞬、現実感を喪失していた。

本当に、黒木蓮と結婚してしまったのだ。

港区に来てからの数日間で、彼女の生活は音もなく、しかし確実に変わり始めていた。

「これからよろしくお願いいたします」

我に返った白石凛は、微笑みを浮かべてそう応じた。

「行きましょうか、黒木様」

その様子を静かに見つめていた黒木蓮の顔に、より一層深い笑みが広がる。

彼は白石凛の手を取り、紳士的な仕草で車のドアを開けた。その声は優しく、どこか甘く絡みつくようだ。

「さあ、どうぞ」

このところ、黒木蓮はずっと憔悴していた。

おそらく、白石凛の到来こそが彼にとって...

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