第188章 後継者の座

西園寺静は彼女に視線を向け、数秒の間、沈黙した。その瞳には逡巡の色が浮かんでいる。

アンナは彼と無駄話をするつもりはないらしく、さっさと運転席に乗り込み、ドアを閉めた。

「乗らないなら行くわよ」

そう言い放ち、アクセルを吹かす。

エンジンの咆哮が響き渡ると、西園寺静はようやく口を開いた。

「待ってくれ」

アンナは目線で合図し、淡々とした表情で告げる。

「乗りなさい」

西園寺静は助手席へと乗り込んだ。

車内には重苦しい沈黙が流れる。

「西園寺さん、何か言うことはないの?」

アンナから口火を切った。その口調からは、特定の感情は読み取れない。

しばらくして、西園寺静が問い返...

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