第19章 手はいくらでもある

「結婚した時、言ったはずだ。会社のことは心配しなくていい、君は家で好きなことをしていればいいと」

西園寺昴は、白石凛の瞳をじっと凝視していた。

「今戻ってくるなら、俺はまだその約束を守るつもりだ」

昴が凛の肩を抱く手は力が強く、振りほどけそうにない。凛は抵抗を諦め、冷ややかに笑った。

「西園寺昴、私を馬鹿にしないで。私が戻ると言えば、株価の問題が解決するからでしょ?」

「ああ、そうだ。解決さえすれば、君もまた昔のような幸せな生活が送れる。俺たちもあの頃のように戻れるんだ。……嫌なのか?」

昴は凛の顎を強く掴み、無理やり視線を合わせさせる。

「譲歩してもいい」そう言って、昴は書類...

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