第207章 結局は無駄だった、彼に心はない

黒木家の別荘、その広大な裏庭。

相井新一と運転手が、バーベキュー用のコンロや食材を運び込み、汗だくになって準備に追われている。その傍らでは、西園寺静が脚立に登り、木の枝に小さな電飾を飾り付けていた。スイッチを入れると、瞬く間に周囲が温かな光に包まれる。

漆黒の闇夜を、色とりどりの光が優しく照らし出す。

それは、温かくも美しい光景だった。

白石凛はドア枠に軽く身を預け、忙しく立ち働く人々へ視線を走らせた。やがてその瞳は、少し離れた場所でコンロの前に佇む男の姿を捉え、微かに揺らぐ。

すらりと引き締まった長身を包むのは、薄手の黒シャツとスラックス。まくり上げられた袖から覗く白くなめらかな...

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