第212章 彼はまだ完全に諦めていない

彼女の笑顔がようやく戻ってきたというのに、それは他の男の傍らで向けられたものだった。

西園寺昴は嫉妬で発狂しそうだった。

黒木蓮の傍にいるのが、それほどまでに楽しいというのか?

長年幼馴染として過ごしてきたというのに、なぜ自分だけがこの結婚という呪縛に囚われているのか。

「西園寺社長?」

返答がないことに、電話の相手が不審げな声を上げる。

西園寺昴ははっと我に返り、写真を握りしめていた指の力を緩めた。スマートフォンの画面には、冷徹な己の眼差しが映り込んでいる。その声は低く、枯れていた。

「西園寺静の処分を焦る必要はない。数日はいい夢を見させてやれ。その後、隙を見て一撃で仕留める...

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