第215章 彼女の頼みは断れない

再びスマホを置くと、白石凛は微かに寄せていた眉間の皺を解いた。気分良さそうに曲を流し始め、メイクの続きに取り掛かる。

文月アンナは感心したように舌を打ち、身を乗り出した。

「凛、また『恋する乙女』の顔になってるわよ?」

「さっきまで不機嫌そうだったのに、メッセージ一通で急に優しくなっちゃって」

「……アンナ、考えすぎよ。最近、野次馬根性が逞しくなってない?」

白石凛は呆れたように鏡越しに文月アンナを見つめ、眉を上げた。

「西園寺静を追いかけてここまで来たんでしょ? せっかく私と黒木蓮っていうお邪魔虫がいないんだから、彼をデートに誘ったら?」

「……」

文月アンナの顔から、すっ...

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