第24章 誰に会いに行った

五年前、彼女はキャリアを捨てた。その成れの果てが、この惨めな姿だ。

目の前の男は、五年前には自分と肩を並べる存在だった。だが今や、彼は家の権勢に頼ることなく海外で地盤を固め、世界屈指のジュエリーデザイナーとなり、自身のブランドをジュエリー界の至宝へと押し上げている。

老舗の宝石商が何年もかけて成し遂げる偉業を、彼は短期間でやってのけたのだ。

今の二人には、雲泥の差がある。

「打撲に効く塗り薬だ。自分の体くらい、ちゃんと労われ」

男が手渡してきたチューブには、色鮮やかな繁体字が躍っていた。

「香港から持ち帰ったんだ。即効性があるから、試してみるといい」

白石凛は頷いて薬を受け取っ...

ログインして続きを読む