第252章 試合を逃す

トイレの外、暗闇の中で玉島佳美はゆっくりと口角を上げ、低く呟いた。「白石凛、コンテストが終わるまでそこで大人しくしていなさい。誰も助けに来ないわよ……」

コンテスト開始まであと五分。

戻らない白石凛を案じ、黒木蓮の焦りは募るばかりだった。

携帯を取り出し電話をかけると、部屋の中で凛の着信音が虚しく鳴り響く。

彼女は携帯を持たずに席を立っていたのだ。

黒木蓮は弾かれたように立ち上がり、ドアへと急いだ。

「凛!」

「凛!」

……

黒木蓮は女子トイレの前で数回叫んだ。

応答がないのを確認すると、彼は躊躇いなく中へ踏み込み、個室のドアを一つ一つ乱暴に押し開けた。

一周しても、白...

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