第285章 玉島佳美が目覚める

三日後。神田家の別荘が売却された。

神田隆明もまた、行方をくらませていた。

どうやら彼は、年村リリという足手まといを連れて行く気を完全に無くしているらしい。

着替えの服すら持ち出す余裕もなかった年村リリは、顔を青ざめさせながら慌ててスマートフォンを取り出し、神田隆明へ電話をかけた。

長いコールの後、ようやく電話の向こうから神田隆明の氷のように冷たい声が響く。

「年村リリ、いい加減に付き纏うのをやめてくれないか」

「隆明、どこにいるの? 今からそっちへ行ってもいい?」

「俺のところへ?」

「あの植物人間の娘を連れてか」

電話越しの男の声には、微塵の温度も感じられない。

その...

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