第293章 後継者

黒木蓮の首筋に無数についたキスマークを見つめ、黒木晶はわずかに眉をひそめた。

「用か」

黒木蓮は頷き、口を開く。

「黒木家跡継ぎの座、あんたはもういらないのか」

「こんな夜更けに、急にどうしたんだ?」

黒木晶は眉を片方持ち上げた。

「疲れたんだよ、悪いか」

「ふっ……」

黒木晶は思わず吹き出した。

一見すると理性的だが、その実かなりの恋愛体質である弟の性格など、彼にはお見通しだった。

「白石さんのためだろう」

黒木晶は、弟の隠れた本音をあっさりと突いた。

電話の向こうの黒木蓮は一瞬言葉に詰まったが、やがてスマートフォンのカメラに向かって小さく「ああ」と頷いた。

「さ...

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