第36章 満足な答案を君に

黒木蓮は足音を聞きつけると、素手で煙草の火を揉み消した。

紫煙を燻らせた喉は、幾分か枯れている。

「着替えたか?」

「ええ」

「行くぞ」

黒木蓮は白石凛を連れ、セントラル・タワーの最上階へと向かった。

海都で最も名高いランドマークであるこの塔には、スカイレストランとガラス張りの展望回廊がある。地上遥か高くから街を見下ろせば、海都の全貌が一望できた。

黒木蓮と共に最上部のデッキに立つと、眼下の海都はすでに宵闇に包まれ、華やかな灯りが点り始めていた。至る所でLEDビジョンが輝き、街路灯の光が連なって光の河を描いている。

「気分はどうだ?」

黒木蓮が訊ねた。

「綺麗ね」

白石...

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