第39章 あなたにとって私はただの他人か

白石凛のスマートフォンが震えた。取り出してみると、マンションの住民グループチャットからの通知だった。

管理会社によると、近隣の送電線トラブルにより、建物全体が一時的に停電するとのことだ。

もう夜も遅い。白石凛の部屋は十六階にある。決して低層階とは言えない高さだ。

彼女は少しの間躊躇したが、階段で上がることを決意した。

白石凛はスマートフォンのライトを点灯させ、階段室に向けた。非常階段は死んだように静まり返り、衣擦れの音さえ響き渡りそうなほどだ。

彼女は唇を噛み締め、湧き上がる恐怖を抑え込んだ。

「怖いか?」

不意に背後から声がした。

白石凛は恐怖のあまり総毛立ち、手から滑り落...

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