第43章 この男は一体誰だ

白石凛は驚きを隠せずに黒木蓮を見つめた。

男は背を向けており、その表情を読み取ることはできない。

まるで一枚の霧に隔てられているかのように、白石凛は唇を引き結ぶ。目の前の男のことが、よく分からなくなっていた。

学生時代から今に至るまで、ずっと。

黒木蓮はそれ以上何も語らず、やがて二人はあるビジネスレストランに到着した。

個室に通されると、そこには一人の女性が待っていた。仕立ての良いスーツに身を包み、長い髪を下ろしている。

彼女は二人を見るなり、言葉を発する前に三分(さんぶ)の笑みを浮かべた。

「白石さん、お掛けになって。金安秋奈と申します。黒木蓮から事情は簡単に伺っています。円...

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