第45章 エレベーターを乗り間違えた

男の眼差しはいつもと変わらず平穏そのもので、まるで先程の激情が全て彼女の錯覚だったかのようだった。

白石凛は一瞬言葉を詰まらせたが、気を取り直して言った。

「まだ具合が悪いようなら、いつでも電話して」

「ああ」

黒木蓮の別荘を後にし、自分のマンションに戻った白石凛は、乱れる心を鎮めるように自分へホットミルクを淹れた。

さっきの黒木蓮のあの目、あれは一体……。

まさか私の見間違いだろうか。でも、前回もそうだった。

白石凛はソファに座り込んだまま、長い間身動きひとつしなかった。

……

一方その頃。西園寺昴が自宅に戻ると、リビングのソファには招かれざる客の姿があった。

神田ミユ...

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