第56章 他人のために花嫁衣裳を作る

翌日。

白石凛が会社に着いて席に座るや否や、花子が意味ありげな様子で椅子ごと近づいてきた。

白石凛は軽く笑う。

「花子、いつも仕事で疲れたって言ってるくせに、ゴシップとなると元気なのね」

「冤罪ですよ、凛先輩。私が無理やり嗅ぎ回ってるんじゃなくて、ネタの方から私を追いかけてくるんですから」

花子は声を潜めた。

「凛先輩、サイオンジ・ジュエリーの稼ぎ頭、『夜灯華』の今期のチーフデザイナーが誰か知ってます?」

白石凛の笑みがすっと消える。彼女は手元のデザイン画に修正を入れながら答えた。

「知ってるわよ。それがどうしたの?」

「噂によると、神田家の令嬢らしいですよ。それに西園寺社...

ログインして続きを読む