第63章 ここまでにしよう

西園寺昴が朝の出社を見合わせるなど、極めて稀なことだった。その報せを聞くや否や、成田ミンはすぐさま彼の別宅へと駆けつけた。

しかし、ドアを開けた途端に鼻をついたのは、むせ返るような酒の臭気だった。

成田ミンがカーテンを開け放つと、そこには自慢の息子が床に座り込み、見る影もなく憔悴しきっていた。彼女は驚きのあまり声を上げた。

「スバル、どうしたの? お爺様から電話があったわよ。会社に行ってないって……何かあったの?」

「何でもない」

差し込む陽光が目に染みたのか、西園寺昴は反射的に手をかざして光を遮った。

「仕事は午後やる」

「あなたなら分かっているとは思うけれど……」

成田ミ...

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