第71章 あなたが一番愛するのは私じゃない

これまでにないほどの激しい嫌悪感が白石凛の胃の底から込み上げ、彼女は堪えきれずに口元を押さえ、その場で嘔吐した。

あまりにも、おぞましい。

人間の本性が醜く、利己的なものであることは知っていた。夫婦の間で起こる不条理や、あり得ない出来事を数多く経験してもきた。

だが、西園寺昴が彼女に向ける愛だけは、これまで一度たりとも疑ったことはなかった。

しかし今この瞬間、彼女はようやく悟ったのだ。自分は長い間、愛という名の目隠しをされた愚か者だったのだと。

西園寺昴は、崩れ落ちるような彼女の様子を見て、胸を締め付けられるような痛みを覚えた。彼女が錯乱して自分自身を傷つけるのではないかと恐れ、彼...

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