第76章 自由と新生を手に入れる

黒木蓮の姿を認めた瞬間、白石凛の絶望に染まっていた瞳に、微かな光が戻った。

彼女は残された力を振り絞って医師を突き飛ばし、手にしていた器具を叩き落とすと、よろめきながら黒木蓮のもとへと駆け出した。

男は反射的に手を伸ばし、崩れ落ちてきた白石凛をその腕に受け止める。

この瞬間、彼女には礼儀や常識など構っている余裕はなかった。

彼の袖を強く握りしめ、哀願するような眼差しで見上げる。

「黒木蓮、お願い。私を連れて逃げて……」

ただこの手術室から、西園寺昴から逃げ出したかった。

腕の中の震える体を感じ、黒木蓮の瞳の奥に暴虐な色が浮かぶ。彼は白石凛を支え、安全な脇へと立たせた。

そして...

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