第96章 あなたは緊張している

白石凛と金安秋奈が階下に降りると、ダイニングではすでに祖母が席に着こうとしていた。

黒木晶がその腕を支え、椅子に座らせる。

祖母の視線が黒木蓮に注がれた瞬間、その眉間に深い皺が刻まれた。声には隠しきれない不機嫌さが滲んでいる。

「久しぶりに帰ってきたというのに、祖母の顔を見ても挨拶ひとつなしかい? 蓮、お前はまだ拗ねているのか?」

「お義母さん、蓮は飛行機を降りたばかりで疲れているんです」

蓮の母が慌てて割って入った。

黒木蓮の表情は終始淡々としていた。

黒木家は古いしきたりを重んじる家柄だ。本来なら、白石凛のような立場の客人は、家族とは別の間に席を設けられるのが習わしだった。...

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