第102章 黒薔薇に連れ去られた

車列は渓谷の深部、守りを固めやすい開けた廃鉱山で停止した。

そこは氷室龍一があらかじめ目星をつけていた、臨時のアジトらしい。

部下たちは迅速に散開し、有利なポジションを確保して警戒態勢に入る。その動きは俊敏かつ洗練されていた。

氷室龍一は手描きの地図を広げると、さらにタブレット端末を取り出した。画面には鮮明な衛星地図と、点滅するいくつかの光点が表示されている。

「老猟師が示したエリアは広すぎる。もっと精度の高い情報が必要だ」

彼はタブレットを指先で叩いた。

「俺の部下を散らして情報を集めさせている。的はここ二年以内に流れてきた余所者の女。特に……あまり境遇の良くない者だ」

彼は...

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