第103章 彼の恐怖

頭上の照明が数回激しく明滅し、バチンッという乾いた音と共に完全に息絶えた。辺り一帯が、絶対的な闇と死寂に包まれる。

「きゃっ!」

綾瀬美月は小さく悲鳴を上げ、反射的に氷室龍一の腕を強く掴んだ。

指先から、彼の腕の筋肉が瞬時に強張り、鋼鉄のように硬くなるのが伝わってくる。

「何が起きたの?」

綾瀬美月は努めて冷静さを保ち、声を潜めて尋ねた。

氷室龍一からの返答はない。

暗闇の中、彼の呼吸が荒く、急促になっているのが聞こえる。いつもの彼からは想像もできない乱れ方だった。

緊急停止ボタンを探すわけでも、通信機を取り出すわけでもなく、彼はただ棒のように...

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