第116章 出資は受け入れない

いつの間にか井野千夏もそばに来ていて、孫の様子に驚きと安堵の入り混じった眼差しを向けていた。

彼女は優しく呟く。

「この子……お父さんにそっくりね」

綾瀬美月は母を見上げた。

千夏の瞳は遠くを見つめ、懐かしさを湛えている。

「あなたのお父さん……若い頃は根っからの『機械マニア』だったのよ。こういう精巧なものをいじるのが大好きでね。ただ、家業を継いでからは諦めざるを得なかったけれど。まさか、ハルがその才能を隔世遺伝で受け継ぐなんてね。それに、図面までこんなに上手に描けるなんて」

再び一心不乱に船の模型と向き合う息子を見つめ、美月の胸には万感の思いが込み上げた。

これは父の血脈の続...

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