第128章 橘奏太に会う

それからの数日間、ベナは怯えきった小鳥のようだった。

部屋の最も目立たない場所に隠したあの「塩」の袋は、まるで真っ赤に焼けた鉄の塊のように、片時も休むことなく彼女の良心を焼き焦がしていた。

綾瀬美月の家で働いている間も、彼女は常に心ここにあらずといった様子で、誰とも視線を合わせようとしない。特にキッチンで食材を扱っている時は、手が勝手に微震するのを抑えることができなかった。

ある時、綾瀬美月が息子の綾瀬陽に水を注ごうとして、うっかり塩の容器を倒してしまったことがあった。

その瞬間、ベナは悲鳴に近い声を上げて駆け寄り、手足をもつれさせながら必死に片付け始めた。その顔色は、まるで紙のよう...

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