第149章 もう一つの道

『金の指貫(ゴールデン・シンブル)』運営委員会のビルを出て車に乗り込んだ綾瀬美月は、すぐにはエンジンをかけなかった。

車窓から差し込む陽光が少し眩しく、彼女の穏やかだが揺るぎない意志を秘めた横顔を照らしている。

薮塚秀二の、あの公私混同も甚だしい卑劣な顔が、脳裏にこびりついて離れない。

氷室龍一に助けを求めるべきか?

彼の手腕と権力をもってすれば、こんな事態を解決することなど造作もないだろう。

だが、その考えは一瞬よぎっただけで、美月はすぐにそれを打ち消した。

何でも彼に頼るわけにはいかない。ましてや、自分の領分であるデザインの世界において。

彼女は自分のやり方で、本来あるべき...

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