第153章 黒薔薇との邂逅

彼女は氷室龍一を見つめた。その瞳には感謝の色と、決して譲れない意志が宿っていた。

「忠告ありがとう。私のために言ってくれているのは分かってる。でも、この件は私のやり方で進めたいの」

氷室龍一は彼女をじっと見つめ返した。その眼差しの中に、幾多の苦難を経ても失われることのない善良さと、その奥に潜む侮れない叡智と鋭さを見て取ったからだ。

彼はそれ以上何も言わなかった。ただ取り箸を手に取り、彼女の皿に魚の切り身を乗せると、いつもの穏やかな口調に戻って言った。

「分かった。君がそう決めたのなら、それでいい。さあ、冷めないうちに食べよう」

彼は彼女の決断を尊重し、彼女にはこの件を解決する能力が...

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