第158章 江口和延、刺される

彼女は顔を向け、神崎美咲を見つめた。その瞳は清らかで、一点の曇りもない。

「彼女が賞を取れたのは、彼女自身の才能と努力、そしてここ一番という時に十分な成果を出せたからよ。私が『持ち上げた』わけじゃない」

「独立については……」

綾瀬美月はふわりと微笑んだ。その笑みは、世俗的な打算を超越した大らかさを湛えている。

「もし彼女が、いつか『初音』では自分の夢を抱えきれないと感じたり、他に探求したい道を見つけて自分の世界を切り拓きたいと望んだりするなら、それは彼女の自由よ。私は喜んで送り出すわ」

彼女は声を落とし、静かに続ける。

「デザイナーの魂は創造にあるのであって、束縛にあるんじゃな...

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