第162章 誕生日の宴

氷室龍一は窓の外を矢のように流れ去る夜景を見つめ、静かに言った。

「彼女にも行く当てはあるだろう。あの手の人間は雑草のようなものだ。息さえしていれば、生きる隙間を見つけ出す。引き続き、行方を追わせるさ」

彼らは皆、黒薔薇が江口和延を襲撃したのは、何か深い陰謀や報復によるものだと考えていた。あるいは氷室龍一との過去の因縁か、別の利害関係が絡んでいるのではないかと。

だが彼らは知らない。

真実は彼らの想像よりも遥かに偏執的で、常軌を逸したものであることを。

江口和延はあの祝賀会に出席し、そこで井野千夏と言葉を交わした。

そしてその光景を、井野千夏に接触する機会を窺い闇に潜んでいた黒薔...

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