第177章 彼女のミス

柴門武は、独りよがりのテクニック自慢に飽きていた。

ふと見ると、綾瀬陽がただ静かに佇んで、時折、自分の足に巻かれた白いガーゼに視線を落としている。

その様子を見て、武の中に意地の悪い衝動が鎌首をもたげた。

家で母が言っていた言葉が脳裏をよぎる。

彼は猛然とコントローラーを操作し、車体を反転させた。スロットル全開。

硬質な合金製のラジコンカーが不穏な唸りを上げ、制御不能の小さな野獣のごとく、陽の負傷した脛めがけて正確に、そして残酷に突っ込んだ!

「ガンッ!」

鈍い音が響く。

「ああっ――!」

不意を突かれた綾瀬陽が悲鳴を上げた。痩せっぽちの体が大きく跳ね、瞬く間に瞳から涙が溢...

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