第178章 氷室零一は君を庇わない

氷室龍一のような男が、本当に綾瀬美月とその息子のためだけに、採算度外視で動くなどということがあるだろうか?

だが、ほとんど手つかずの料理が並ぶテーブルを眺め、綾瀬美月が去り際に残したあの凍てつくような視線を思い出すと、胸の奥に巣食った不安はどうしても拭えなかった。

彼は苛立ちを露わにして手を振った。

「いい加減にしろ! 全員黙れ! この話はこれで終わりだ! お前たちは今後、あの綾瀬美月には一切関わるな! 特に幸子、お前だ。息子の管理はどうなっている! これ以上騒ぎを起こしてみろ、親父の家には二度と敷居を跨がせないからな!」

佐京潤の名が出ると、佐京幸子はようやく完全に黙り込んだ。顔か...

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