第190章 帰路

「よくやった」

氷室龍一は短くそう答えただけだったが、その声に含まれる冷徹さに、綾瀬美月は微かに身震いした。彼は一拍置き、こう付け加えた。

「後始末は完璧にしろ。功績のあった者には、相応の報酬を弾んでやれ」

「了解しました!」

通話が切れると、部屋は死のような静寂に包まれた。聞こえるのは二人の重なり合う呼吸と、綾瀬美月のまだ収まらない激しい鼓動だけだ。

彼女は顔を上げ、薄暗い照明の下で一層底知れぬ深みを湛える氷室龍一の横顔を見つめた。声が微かに震える。

「あなた……飛行機がハイジャックされるって、最初から知ってたの? あの乗客たちは……あなたが手配した人たち?」

だから、彼は急...

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