第211章 別の身分になろう

だが、桐島蓮を諦める? そんなこと、できるはずがない!

彼女の瞳に、強情さと、より深く暗い執着の色が走った。

どんな手を使ってでも、桐島蓮を手に入れてみせる。

そして綾瀬美月……。とっくに去ったはずなのに、依然として亡霊のように自分と蓮お兄様の間を隔てるあの女は、このゲームから完全に退場してもらわなければならない!

綾瀬美月が助手席のドアを開けて乗り込むと、外気の冷たさと、宴会場の残り香がふわりと漂った。

シートベルトを締め、運転席で発進の準備をしている氷室龍一に顔を向ける。

「待たせたかしら?」

彼女は努めて明るく振る舞い、先ほどテラスで澱んだ空気を払拭しようとした。

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