第218章 異変

もともと氷室龍一という男は、人を寄せ付けない冷徹な空気を纏っている。もし綾瀬美月の存在がなければ、綾瀬有美は彼のような人間と関わり合いになることなど、金輪際避けたいと願ったはずだ。

有美は華奢な肩をびくりと震わせ、恐る恐る振り返った。だが、氷室の射るような視線とぶつかった瞬間、反射的に目を逸らしてしまう。「氷室様……」

「桐島蓮が来ている」

氷室は単刀直入に切り出し、その爆弾のような事実を突きつけた。

「奴の船は、すぐ近くまで迫っているぞ」

有美の顔色は瞬く間に蒼白になり、唇がわなわなと震える。「そ、そんな……どうして彼が……」

「それを聞いているのは俺の方だ」

氷室は一歩踏み...

ログインして続きを読む