第220章 彼女は構わない

綾瀬美月は『初音』の本社にて、上場に向けたロードショーの最終調整に関する会議を取り仕切っていた。

そこへ、アシスタントが強張った面持ちでノックをし、入室してくる。

彼女は美月の耳元で、声を潜めて報告した。

「綾瀬さん、桐島源蔵様がいらっしゃいました。どうしても今すぐお会いしたいという緊急の用件だそうで……ご様子が、かなりおかしいのです」

美月は微かに眉をひそめた。

桐島源蔵? 彼が何の用だというのか。それも、こんな大事な時期に。

彼女は会議の中断を指示し、アシスタントに頷いてみせた。

「小会議室にお通しして」

小会議室に足を踏み入れた瞬間、美月はソファに座る老人が誰なのか、一...

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