第221章 許されざる過去

会議が終わったばかりだった。

綾瀬美月がオフィスに戻り、水を飲んで一息つこうとしたその時、ドアが少々手荒に、急くように押し開けられた。

氷室龍一が大股で入ってくる。

いつも沈着冷静な彼にしては珍しく、その眉間には隠しきれない焦燥と憂慮が刻まれていた。

「美月!」

彼は数歩で彼女の前に詰め寄り、その顔を覗き込むようにして言った。まるで、彼女の変化を一つも見逃すまいとするかのように、視線が強く注がれる。

「桐島源蔵が……ここへ来たんじゃないか?」

彼の耳は早かった。桐島源蔵が『初音』ビルに足を踏み入れた瞬間、情報は彼のもとに届いていたのだ。

桐島源蔵は綾瀬美月の恩人であり、あの老...

ログインして続きを読む