第256章 書斎でミルクを飲む

この夜、氷室龍一は書斎で仕事に目を通していた。険しい眉間にはうっすらと皺が寄り、その周囲の空気は相変わらず重たい。

綾瀬美月は、ちょうどいい温度まで温めたミルクをマグカップに満たし、そっと扉を押して中へ入る。

「まだお仕事中ですか?」

柔らかな声音でそう言いながら、彼の手元にカップを置く。自分はそのまま彼の背後に回り込み、しなやかな指先で彼のこめかみをそっと押しほぐした。

氷室龍一の身体が、ほんの一瞬だけぴくりと強張る。だがすぐに力を抜き、彼女の珍しい「ご奉仕」を受け入れた。

彼は目を閉じる。鼻先には、彼女の肌からふわりと立ちのぼる淡い香り。張りつめていた神経が、少しずつ解けていく...

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