第26章 白石さん、出過ぎた真似です

橘奏太の車は猛スピードで夜の道を切り裂き、最寄りの病院へと滑り込んだ。

車内では、綾瀬美月が助手席で体を小さく丸め、薄れゆく意識の淵で必死に耐えていた。

薬の魔手が彼女の華奢な体を蹂躙し、吐き気が波のように押し寄せる。だが、彼女は下唇を血が滲むほど強く噛み締め、残された理性と屈辱感を糧に、辛うじて意識を繋ぎ止めていた。

「頑張れ、もうすぐ着く」

橘奏太の声は張り詰めていた。いつもの冷静沈着な仮面の下に、隠しきれない焦燥が滲む。

彼は片手でハンドルを操りながら、もう一方の手で素早く電話をかけ、短く命じた。

「市中央病院の救急へ連絡しろ。薬物投与の疑いがある急患だ。五分で着く」

電...

ログインして続きを読む