第283章 私は賀氏の株が欲しい

 この言葉の容赦のなさに、綾瀬美月の胸がわずかに震えた。だが、反論はしなかった。

 ビジネスは戦場だ。敵に情けをかけるのは、自分に刃を向けるのと同じ──その理屈は、桐島家を出る時にはもう、骨身に染みて理解している。

「じゃあ、桐島蓮は?」彼女は問う。「岡林時子を庇う?」

 氷室龍一は首を横に振った。

「庇えないし、庇わない。桐島グループは今、自分のことで手一杯だ。それに……」

 そこで一拍置く。

「たぶん桐島蓮は、とうの昔に岡林時子が何をしているか気づいていた。ただ、傍観を選んだだけだ」

 綾瀬美月は黙り込んだ。それはいかにも「今」の桐島蓮らしいと思う。冷静で、計算高く、常に自...

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