第288章 デイヴィの試み

氷室龍一が箸を止めた。だが、その顔色はほとんど変わらない。

「国に戻ったのか。……体はどうなんだ」

「見た感じは、だいぶ良くなってたよ」

綾瀬美月が答える。「それで……ひとつ、質問されたの」

「恋愛のことか」

「えっ、どうして分かるの?」

驚いて顔を上げた彼女の手を、氷室龍一がそっと取った。

「男だから分かるんだよ。あいつの目つきは、前から違ってたからな。ずっと前から、おまえを見る時だけ」

「じゃあ、あなたは……」

「気にしない」

氷室龍一は、静かな声で言い切った。

「おまえには、たくさんの人に好かれる権利がある。俺には――最後に、おまえの心を勝ち取る権利がある」

あ...

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