第293章 君には敵わない

彼はUSBメモリをひとつ放り投げ、ザカに寄越した。

「中に入ってるのはホテルの平面図、監視カメラの死角、交代のタイムテーブル、それからユジンの連絡先だ。明日の夜、あいつが22階の廊下のカメラを一時的に落とす。10分間だけ。その10分が、お前の唯一のチャンスだ」

ザカは受け止め、指先でUSBを強く握り込んだ。

「俺に何をやれって?」

「簡単だ」

デイヴィは歩み寄り、声を限界まで落とす。

「綾瀬美月の部屋の換気システムは、夜10時に定期メンテに入る。ユジンが無色無臭のガスをダクトに混ぜる。深い昏睡に落ちるが、死にはしない。病院に運ばれたら――」

そこで、デイヴィは口元だけで笑った。...

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