第305章 どうして暇があって私を誘ったんだ

綾瀬美月は書斎に立ち、窓外のどんよりとした空模様を見つめながら、必死に平静を保とうとしていた。

「実店舗のセキュリティを強化して。ネットショップの方は危機管理の広報対応を立ち上げてちょうだい。それから、神崎美咲にも連絡を。SNSで発信してもらうよう頼んで——直接味方につかなくてもいいわ、ただ法律が皆に公正な結果をもたらすと信じている、とだけ言ってくれれば」

「承知いたしました。ですが綾瀬さん、氷室社長の件は……」

「彼がなんとかするわ」

綾瀬美月は通話を切り、書斎の机へと歩み寄った。

机の上には、氷室龍一が発つ前に残していった暗号化されたスマートフォンが置かれている。

登録されて...

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