第310章 武力による追放

電話に出たのは、彼女がA市に置いている情報網だった。

「全員動かして。対象は井野千夏、静凛堂古董店」黒薔薇の声は冷静で、迷いがない。「24時間途切れずに護衛。最優先だ。怪しい者が近づいたら、まず確保。それから報告」

「了解! 井野千夏さんには知らせますか?」

「知らせないで」黒薔薇は一拍置く。「あの子は静かなのが好き。邪魔されてるなんて思わせたくない」

通話を切り、黒薔薇はうねる雲の層を見上げた。

氷室龍一の言う通りだ。シュエット級の殺し屋なら、確かに何だってやる。

だが黒薔薇も甘くはない――シュエットが本気で井野千夏に手を出すなら、あの女に教えてやる。生きるより地獄のほうがまだ...

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