第311章 岡林時子女史は信原直人と関係を持っている

「もっと彼女の情報が欲しいわ」

綾瀬美月は言った。

「弱点、癖、私に近づくとしたらどういう手口か――相手を知ってこそ、先手を取れる」

氷室龍一は、黒薔薇から渡されたUSBの内容をかいつまんで綾瀬美月に伝えた。とりわけ、あの新型の神経毒の性質だけは念入りに。

「無色無臭で、皮膚に触れただけでアウト……」

綾瀬美月が低く呟く。

「つまり、近距離の接触そのものが危険。見知らぬ相手、とくに向こうから話しかけてくる人間――身体に触れられる可能性がある状況は全部警戒する」

「もう一つ」

氷室龍一が声を落とす。

「シュエットは変装が得意だ。肩書きなんて何でもあり得る――ウェイター、宅配員...

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