第316章 転んでしまった

桐島蓮はドアの外に立っていた。その指先は、インターホンまであと数センチのところで止まっている。

内側から突然ドアが開くとは、ましてや、見知らぬ女が顔を出すとは思いもよらなかったのだろう。

三人の視線が空中で交錯し、一秒ほど時間が静止したかのようだった。

桐島蓮の視線がシュエットの顔を掠める。見知らぬ、それでいて見覚えのある顔……。

南太平洋でのあの夜の記憶が、瞬時に脳裏に蘇る。

あの瞳。死んでも忘れるものか。

「お前……」

桐島蓮の言葉は、喉の奥で詰まった。

シュエットの反応は、彼よりも遥かに速かった。

桐島蓮がその一言を言い終わるよりも早く、彼女は一歩踏み込み、残像すら残...

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