第319章 任務完了

「……いらっしゃるわ」

綾瀬美月の声は柔らかいのに、芯があった。

「ライラ……ですよね?」

それはシュエットから聞かされていた名前だった。

その名が落ちた瞬間、野名幸恵がはっと顔を上げる。瞳に、初めて激しい揺らぎが走った。

痛み。罪悪感。そして、底の抜けたような悲しみ。

「ライラは弁護士を立てて、刑務所にも連絡して……記者のふりまでして、あなたに会おうとしたそうです」

綾瀬美月はまっすぐ言った。

「でも、あなたは会わなかった。会えても、何も話さなかった」

野名幸恵は目を閉じた。まつげの端から、涙がすっと落ちる。

「会えない……会う資格がない……」

「どうしてですか?」

...

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